私のおすすめ洋書

洋書

洋書

リーディング力を高めようと思って読み始めたのが、英語で書かれている洋書。英語が原作のものもあれば、日本文学が英語に翻訳されたものもあります。

最初は勉強のために読んでいたんですが、だんだんと読めるようになってきて、そこからとても楽しくなってきました。
少し難しい文章も、小説だとするする読めるのはなぜなんでしょうか。

原作が英語で書かれている物語を読むと、「こういう表現だったんだ」という気付きがあります。
逆に、原作が日本語で書かれている小説もいくつもあって、日本語版と並行しながら読むとすごく面白い。

英語のリーディング力強化のために洋書に興味はあるけれど、何を読んだらいいか分からない人のために、今日は私が読んでいて英語の勉強に使えそうだなと思った本や、面白いと思った本を紹介します。

あの名作を英語で読もう

ここでは、英語で原作が書かれている作品をピックアップ。

アルジャーノンに花束を Flowers For Algernon

「初めて洋書を読むならこれ!」と勧められることも多いのが『アルジャーノンに花束を』。
知的障害のある主人公が、博士から書くように依頼された経過報告を読むという形で、物語が進んでいきます。
日本語訳で読んだことのある方は分かるかもしれませんが、最初はスペルミスがたくさんあります。
でも、結構すっと読めてしまうような、不思議なスペルミス。

そして、「経過報告」という日記形式で書かれているうえ、最初のうちはスペルミスが多いので、前後の文を読んで「どういう意味だろう?」と推測する必要があります。
これがリーディングのいい練習になるということで、英語勉強にも勧められるんですね。

不思議の国のアリス Alice’s Adventures in Wonderland

『不思議の国のアリス』は、ウサギを追いかけて不思議の国に迷い込んだ少女アリスの冒険を描いた物語です。
言わずと知れた名作ですね。
アニメ版ですでに内容をご存じという人も多いかもしれません。
19世紀にイギリスのルイス・キャロルによって書かれた物語です。
また、子ども向けの作品なので、そこまで難しい語彙が出てこないので、気軽に読めるのもいいところ。

『不思議の国のアリス』の特徴は、英語の言葉遊びがふんだんに使われているところ。
例えば、チェシャ猫(Cheshire Cat)は有名な慣用句から生まれたキャラクターです。
イギリスならではの冗談やパロディ、英語ならではのダジャレも豊富なので、英語で読むことで違った印象を受けます。

ハリー・ポッターと賢者の石 Harry Potter and the Philosopher’s Stone

日本でもメジャーで映画化もしている大人気ファンタジーです。
1度は観たことがある、読んだことがあるという人も多いんじゃないでしょうか。

ハリー・ポッターはイギリス英語で書かれているのでタイトルはPhilosopher’s Stoneですが、アメリカ版ではSorcerer’s Stoneとタイトルが違うんです。アメリカではphilosopherというと、どちらかというと「哲学者」的なニュアンスで捉えられてしまうので変更されたとのことです。

「同じ英語でも単語や表現の違いがあるんだ」という気付きや、「どうしてこの表現になっているんだろう?」という深堀りができる本でもあります。

ハックルベリー・フィンの冒険 Adventures of Huckleberry Finn

マーク・トゥエインの小説といえば『トム・ソーヤ―の冒険』が有名ですが、こちらはその続編です。ハックルベリー・フィンという少年は『トム・ソーヤーの冒険』でも出てきます。ストーリー的には『トム・ソーヤー』が、文学的には『ハックルベリー』の評価が高いという感じではないかなと思います。

正直、読みにくい英語ではあります。ハック(ハックルベリー)は方言を使いますし、逃亡奴隷ジムの表現も、標準的な英語とはとても言えませんが、そうであるからこそ、日本語訳では拾えない原文ならではの良さを堪能できます。

英訳された日本小説

ここでは、もともと日本語で書かれた作品が英語に翻訳された名作をピックアップ。
日本語を知ったうえで、日本語的表現をどのように英語に変換しているのか、興味深く読むことができます。

吾輩は猫である I am a CAT

誰もが一度は聞いたことがある、夏目漱石の小説です。猫視点のお話ですね。

「吾輩」とか「猫である」という言い回しは日本独特で、これを完璧には伝えきれていません。
例えば、日本語ではタイトルの時点でとっても尊大な猫なんだなというのが分かりますが、I am a CATではそこまでのニュアンスを伝えることは難しいんですね。

でも内容の面白さは損なっていないんですよね。
日本語のニュアンスをどのように英語に訳すか?という視点で見たときにはとても勉強になります。

人間失格 No Longer Human

太宰治の小説です。タイトルを直訳すると「もはや人間ではない」といったところでしょうか。少しニュアンスが違うような気がするものの、この作品の暗いイメージをよく捉えているともいえます。

この作品はとても暗い話なのですが、一時期アメリカで流行りました。翻訳もテンポよく、それでいてこの世界観をよく捉えていて、原作者と翻訳者の相性が良かったのではないかな、と感じる作品の一つ。

陰翳礼讃 In Praise of Shadows

英語で日本文化を紹介するといったら、谷崎潤一郎の作品は外せないでしょう。海外で親しまれていて、評価が高い作品といえば『陰翳礼讃』でしょうか。陰翳の中に美を感じる日本の伝統的な美的感覚にフォーカスしたエッセイです。

西洋と東洋の美的感覚の違いについて書かれていて、特に、日本人ならではの「住宅」の考え方にたくさん触れているので、私たち日本人から見ても、「そういう時代があったんだ」と勉強になると同時に、「この感覚はよくわかる」という気持ちになります。

建築関係の人は必ず手に取るとも言われるくらいの名著なので、建築に興味がある方にもおすすめです。

また、海外へいくと、アートや文化を目の前にして「君の国ではどうなの?」と聞かれることが多いからです。日本人は自国の文化・アート・宗教について知らない人が多く、会話の場で言葉に詰まってしまう人が多いといわれています。

谷崎潤一郎は、日本人の中でも、日本のアート的な感覚を語りつくした人といえるので、海外生活を目指すからこそ触れておきたい作家さんの一人ですね。

ブレイブ・ストーリー Brave Story

宮部みゆきといえばミステリーという印象が強いですが、英語圏ではブレイブ・ストーリーが特に人気かもしれません。というのも、アメリカの児童図書翻訳賞「バチェルダー賞」を受賞した作品なんです。

成績はそこそこ、ゲームが大好きな小学5年生の少年が、家庭崩壊の危機に直面し、自らの運命を変えるために幻界(ヴィジョン)と呼ばれる世界への冒険へ踏み出すファンタジー作品。

児童書という分類で括られる「子供向け」と言ってしまっていいか悩むくらいに重い展開もありますし、長いお話なので読むのも根気がいるかと思いますが、その世界観に引き込まれてあっという間に読んでしまいました。

多読と精読の違いって?

洋書をどのように読んだらいいのか悩む人もいるのではないでしょうか。
洋書の読み方は、「多読」と「精読」に分けられます。

多読とは、たくさんの本を読む「量」を重視したリーディング方法です。
リーディングに慣れておらず、英語に慣れたいという目的であれば、まずはたくさんの洋書に触れてみましょう。文学小説に限らず、絵本や児童書からスタートしてもいいでしょう。

精読とは、一字一句をじっくりと読み進める、「質」を重視したリーディング方法です。小説そのものを楽しみたい、英語の表現の幅を広げたいという人に向いています。

洋書の選び方

洋書を読むと言っても、何から手を付けていいのか分からないという人もいるでしょう。
ここでは、私なりの洋書の選び方を紹介します。

レベルに合わせて選ぶ

リーディング力のアップを目標に頑張るにしても、いきなり難しい洋書を選ぶのはNG。
まずは、自分の英語力に合った本を選ぶことが大切です。

英語力にまだ自信がないという方は、絵本や児童書など、分かりやすい英語が使われていることが多い作品を手に取ってみましょう。また、中には、難しい単語やイディオムにルビ訳が振られた洋書もあるので、そちらを選ぶのもおすすめです。

小説のジャンルにも注目

一番いいのは、興味を持って読めるジャンルを選ぶこと。自分の好奇心に勝るモチベーションはありません。
とはいえ、比較的読みやすいジャンルというものはあります。

例えば、ヤングアダルト向けのファンタジー小説やSFなどは、読みやすい英語で書かれています。
ハリー・ポッター、ハンガーゲーム、トワイライトなど、映像作品になっている小説も多いので、映画から入るのもいいかもしれませんね。
洋書に慣れていない方は、ヤングアダルト系の小説を読みつつ、自分の好きなジャンルにチャレンジするのがおすすめです。

電子書籍の有無

私が洋書を探すうえで気になるのが、電子書籍版があるかどうか。
紙媒体は書き込みができるので、じっくりと精読をするのに向いていると思うんですが、電子書籍もすごくいいんですよ。
以前も触れたけれど、手軽に買えるし、辞書も引けるからとっても便利。

洋書は電子書籍になっているものも多いし、多読派であれば本棚がかさばらないのでおすすめ。分からない単語があったときに、手元に辞書がなくてもすぐに調べられるところが便利です。

あと、古典の場合は、電子書籍版がAmazon unlimitedの対象に入っていることもあるので、オトクに読めることも。

英語でも日本語でも、面白そうな作品はいっぱいあります。
また、英語と日本語の違いを楽しんだり、英語の中でも文化圏の違いを楽しんだりと、言語学習に留まらない面白さがあるのも、洋書の魅力。楽しみながらリーディング力を身につけるにはぴったりです!